2023.07.31ブログ
システム・コーチングを通して思うこと(担当:石神)
コーチングには個人を対象に行うパーソナル・コーチングとチームの関係性に焦点をおいたシステム・コーチングがあります。
今回は、職場内のメンバーの関係性におけるコーチングについて感じたことをお話したいと思います。
職場での課題を達成するために、そこで解決しなければならない問題を取り扱いながらチームとして取り組んでいくチームビルディング、あるいはファミリー・トレーニングという手法もあります。
しかし、このシステム・コーチングは、出発点がお互いの関係性の質を整えていくことに焦点をおいていることに大きな違いがあります。
この背景には、ダニエル・キム氏が提唱した「成功の循環モデル」に基づいています。「メンバーの関係性の質の良し悪しが思考の質に影響を及ぼし、行動の質に影響を与える」という人間そのものが発する「生命エネルギーの関係性のシナジー」を前提としています。
以前の私は、仕事内容の8割が階層別のマネジメント研修でした。
階層別研修では職場で上手くいっていること、上手くいっていないことを洗い出しながら、具体的な課題を選択し、その対応策に取り組んでいきます。しかし、多くの時間をかけて練り上げた職場展開策が、各職場(現場)に戻ったメンバーによって、実施されないという現状がありました。
その原因の一つには、階層別研修で策定する展開策は、実際に現場で取り組むメンバーの意見やアイディアが反映されているものではなく、メンバーを充分に巻き込むことができなかったという点です。
二つ目には、研修を受けて熱い想いで職場に戻ったとしても、変わらない上司とメンバー、変わらない仕事内容、変わらない職場風土とコミュニケーションスタイルが存在します。そのような状況の中で、自分の想いを語る機会もなく、「まあ~いいか。別に波風たてなくても、仕事は回っているし、そこまでやることもないか」とその熱い想いは一週間も経てば消えていき、何もなかったかのように日常の仕事に戻っていくことが多いからでしょう。
しかし、システム・コーチングを始めてから、気づいたことがあります。
コーチングのメンバーが職場に戻ってから、「このように取り組んでいます」「あの後、職場メンバーを集めて行動指針をみんなでつくりあげてみました」等々、予想を越えたフィードバックが返ってくるのです。
驚いたことの一つに、システム・コーチングで使った『力の場の分析』手法を実際に職場で活用した効果について報告があったことです。これまでのマネジメント研修でこの手法を扱っても実際に職場で展開されることはな少なかったので、とても驚き、嬉しく感じました。
システム・コーチングは、チームの関係性に焦点を当ててそこにある課題を扱いますが、課題解決に特化した研修より、当事者意識や職場での展開の深さに違があると感じています。
職場は一つの生命体なのです。
課題のことばかりでなく、メンバーの夢やそれに対する不安、自分の内面にある気分、感情をお互いに話し合う時間が重要であるという認識を深めています。
話し合いを進めていく中で思考の質もさることながら、メンバーの関係性に配慮してくことが、メンバー一人ひとりの中にある意志、意欲がセッションを進めるごとに醸成されていることにも気づきます。
職場での「心理的安全性」という言葉が叫ばれている今、メンバー間の関係性の質が、思考の質、行動の質にまで影響することを提唱したダニエル・キム氏の説は、頭で理解した以上にその重要性を感じています。
職場であれば必ず達成していかなければならない課題があります。このシステム・コーチングは一見、遠回りするように思いますが、関係性の中から課題を見出し解決することは、まさに生命システムのなせる業と感じています。
システムコーチング ご紹介映像
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